発酵と水の関係

発酵と水の関係についての深掘り

日本酒や醤油などの発酵食品は、その製造過程において水の質が非常に重要な役割を果たします。特に、日本酒の蔵元では、水は米の磨きや洗米、仕込み(自然水と合わせる)もろみ、そして最終的な製品の味わいを左右するため、水は非常に重要な役割となっております。同様に、醤油の醸造元も水質が製品の品質に直接影響を与えるため、良質な水を求めています。

 

では、なぜ水道水ではなく、特定の水源から取り入れた水を使用するのでしょうか。その理由は複数ありますが、主なものとしては以下の通りです。

1. ミネラル: 水道水は人間が飲用するために塩素処理されており、ミネラル(五大栄養素の一つ)が水道水と自然水とは異なります。発酵過程では、ミネラルの種類と量が微生物の活動に影響を与えるため、適切なミネラルを持つ水が求められます。

※ミネラルは、私たちの体にとって重要な役割を持つ五大栄養素の一つです。炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルのことです。この五大栄養素は筋肉や血液など体の部分を作ったり、生きていくために必要なエネルギーを生み出したりと、ヒトの体に不可欠なはたらきがあります。

ミネラルには、以下の2つの種類があります。

  • 多量ミネラル:カルシウム、マグネシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩素など。
  • 微量ミネラル:鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレンなど。

2. 塩素とその他の化学物質: 水道水に含まれる塩素は、微生物を殺菌する目的で添加されていますが、これが発酵を担う微生物(細菌、酵母、麹菌)に対しても有害である可能性があります。また、その他の化学物質も発酵過程や最終製品の風味に悪影響を及ぼすことがあります。

3.湧き水原理の有限会社ビビアンさんのサイトを参考に水道水の仕組みと現状を調べてみました。

図は有限会社ビビアンから

年々工場や農薬の使用等で濃度の高い有機物質が排出され、家庭からは塩素系の洗剤や生ゴミが排出されて河川や海、地下水は汚染され、浄水場ではそれを取り除くために塩素が使用されています。年々水質汚染が酷くなるにつれ塩素の投入量は増える状況にあります。

水道水には多くの残留塩素が含まれています。残留塩素とは、水道水の安全のために水道水中に投入された塩素が水道水に残留したものですが、水道法(水道法施行規則)によって、 安全性確保のために蛇口から出る水道水には、必ず一定の残留塩素があるように定められています。

※水道水の原理については有限会社ビビアンのサイトの記事を引用

4 pH値: 水道水のpH値(6.5)は通常中性近くですが、発酵に適したpH値は製品や使用する微生物によって異なります。通常発酵された食品は酸性に傾きます。従って、アルカリ水等は発酵食品には不向きになります。塩麹などにはアルカリ水を使用すると発酵に不向きな場合があります。そこで自然水(湧き水由来の)中庸の水がお勧めになり発酵過程が最適化されることがあります。

以上の点から、日本酒や醤油を始めとする発酵食品の製造元では、製品の品質を保つために特定の水源から取り入れた良質な水を使用しています。これは単に伝統的な方法に従っているだけでなく、科学的根拠に基づいた選択であり、消費者に最高の味わいを提供するための努力の一環です。

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