ちょっと寄り道 味噌づくりに、なぜ「塩」が必要なの?

全国味噌マップ・ちょっと寄り道

味噌づくりに、なぜ「塩」が必要なの?

日本全国のお味噌を訪ねる「全国味噌マップ」。

米味噌、麦味噌、豆味噌。

甘い味噌、辛い味噌。

白い味噌、赤い味噌。

土地が変われば、麹も違う。

大豆も違う。

仕込み方も熟成期間も違います。

そんな味噌の旅を続けている途中ですが、今日はちょっと寄り道をしてみたいと思います。

今回の主役は――

「塩」です。

味噌の材料は、とてもシンプルです。

大豆・麹・塩。

でも、この「塩」。

ただ味噌をしょっぱくするために入れているのでしょうか?

実は、そんな単純なものではありません。


🧂 塩は、味噌を「しょっぱくする」だけじゃない

味噌づくりにおいて、塩には大きく3つの役割があります。

① 味をつくる

もちろん、まずは味です。

大豆の旨味、麹から生まれる甘味、そして塩味。

このバランスによって、味噌のおいしさがつくられていきます。

② 好ましくない微生物の増殖を抑える

味噌は、仕込んだら何か月も熟成させます。

その長い時間、味噌を守る役割のひとつを担っているのが塩です。

塩分のある環境では増殖しにくい微生物がいる一方、味噌の熟成に関わる耐塩性の酵母や乳酸菌などは活動することができます。

つまり塩は、

「発酵させながら、腐敗しにくい環境をつくる」

ためにも重要なのです。

③ 発酵・熟成の環境を整える

味噌づくりでは、塩が多すぎても少なすぎてもいけません。

塩分濃度は、微生物の活動や熟成の進み方にも関係します。

だから私たち麹屋にとって塩は、単なる調味料ではありません。

**「味噌の発酵を支える大切な材料」**なのです。


🌊 ある日、塩の袋を裏返してみました

今回、味噌づくりに使っている「国産 平釜塩」の栄養成分表示を改めて見てみました。

100gあたり、

食塩相当量 84.1g

カリウム 176mg

マグネシウム 563mg

カルシウム 1,400mg

と書かれています。

ここで、ふと気になります。

「塩なのに、食塩相当量が100gではない?」

そして、その下にはカリウム、マグネシウム、カルシウム。

普段「塩」とひとことで呼んでいますが、その中身をじっくり見ることはあまりありません。

この塩は海水を原料に、平釜でじっくり煮詰めて作られています。

そこにはナトリウムだけではなく、海水由来のさまざまな成分が含まれているのです。


🌊 塩の中のミネラルは、体で何をしているの?

それぞれを簡単に見てみましょう。

🧂 ナトリウム

体液の浸透圧を保ったり、神経や筋肉が正常に働いたりするために必要なミネラルです。

ただし、現代の日本の食生活では不足よりも摂りすぎに注意したい成分です。

🥬 カリウム

体内の余分なナトリウムを排出する方向に働き、水分バランスの調節にも関係します。

神経や筋肉の働きにも欠かせません。

⚙️ マグネシウム

体の中で起こる多くの酵素反応を支えています。

エネルギーをつくったり、神経や筋肉の働きを整えたりする、いわば

「縁の下の力持ち」

のようなミネラルです。

🦴 カルシウム

「カルシウム=骨や歯」というイメージがありますね。

もちろんそれも大切ですが、筋肉の収縮や神経の働きなどにも関わっています。


🌾 「ミネラルが多い塩=たくさん食べてよい」ではありません

ここは、とても大切なところです。

海水からつくられた塩には、ナトリウム以外のミネラルも含まれています。

だからといって、

「ミネラルが入っている塩だから、たくさん食べても大丈夫」

ということではありません。

塩は塩です。

食塩の摂りすぎには注意する必要があります。

また、今回表示されているミネラル量は塩100gあたりの数値です。

一度の食事で塩を100g食べるわけではありませんから、「この塩だけで必要なミネラルを摂ろう」と考えるものでもありません。

大切なのは、

塩の特徴を知り、上手につき合うこと。

私はそう考えています。


🌸 花ちゃんの「今日の発酵ポイント」

「塩って、ただ“しょっぱい”だけじゃないんだね!」

味噌の味をつくる。

好ましくない菌の増殖を抑える。

発酵・熟成する環境を整える。

そして海からつくられる塩には、いろいろなミネラルも含まれているよ。

でも、摂りすぎには気をつけようね!


大豆、麹、そして塩。

私は長い間、麹屋として味噌づくりに携わってきました。

毎日のように使ってきた材料でも、改めて調べてみると、

「そうだったのか」

と思うことが、まだまだあります。

全国の味噌を調べていると、土地によって大豆が違い、麹が違い、塩分も違う。

そして今度は、

「なぜ、この地方の味噌はこの塩分なのだろう?」

という新しい疑問も出てきます。

発酵は、本当に面白いですね。

大豆を知る。

麹を知る。

水を知る。

そして、塩を知る。

一つひとつを知ることで、いつもの味噌が少し違って見えてきます。

今回の全国味噌マップは、ここでちょっと寄り道。

次回から、また日本各地のお味噌を訪ねていきましょう。

麹屋は、発酵文化のスタート地点。

麹は未来へ。


鈴木こうじ店

創業百五十余年の伝統と職人の技術で、皆様の美味しい発酵ライフをサポートいたします。

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