種麹屋さんが教えてくれた、本当の麹づくり

麹の世界 第15話

100点の麹を目指さない

~種麹屋さんが教えてくれた、本当の麹づくり~


「完璧な麹はありませんよ。」

35年前。

麹屋になって間もない頃の私は、毎日「完璧な麹」を作ろうとしていました。

父のような真っ白な総ハゼ麹。

見た目も美しく、香りも良い麹。

昨日より今日。

今日より明日。

もっと良い麹を作りたい。

そんな思いで毎日麹室に立っていました。

ある日、その気持ちを種麹屋さんに話すと、静かにこう言われました。

「鈴木さん、完璧な麹なんてありませんよ。」

私は、その言葉に驚きました。


同じ麹は二度とできない

種麹屋さんは続けました。

「毎回、お米が違います。」

「気温も違います。」

「湿度も違います。」

「蒸し加減も違います。」

「吸水も違います。」

「だから、毎回100点の麹は作れないんです。」

確かにその通りでした。

自然を相手にする仕事に、「まったく同じ」はありません。


大切なのは「100点を目指すこと」

私は尋ねました。

「それでは、どうすればいいのでしょうか。」

すると種麹屋さんは笑いながら答えてくれました。

「100点を作ることじゃありません。」

「100点を目指し続けることですよ。」

その一言が、私の麹づくりを大きく変えました。


麹づくりは自然との会話

麹菌は生きています。

毎日、同じように見えても、

少しずつ表情が違います。

今日は元気かな。

少し暑そうかな。

香りはどうだろう。

そんな小さな変化を感じながら、

麹と会話をするようになりました。


点数では測れない仕事

学校のテストなら、

100点があります。

でも麹づくりには、

点数を付けることはできません。

今日の麹が良かったと思っても、

明日は違う条件になります。

だから私は、

昨日の自分より少しでも良い麹を育てることを目標にしています。


支えてくれる人たち

そして種麹屋さんは、

もう一つ大切なことを教えてくださいました。

「鈴木さん。

麹は一人では作れません。」

本当にその通りです。

良いお米を育てる農家さん。

菌を守り続ける種麹屋さん。

塩屋さん。

大豆の生産者さん。

資材屋さん。

機械屋さん。

運送会社さん。

そして、

鈴木こうじ店の家族。

たくさんの方々に支えられて、

一粒の麹が生まれています。


「ありがとう」が増えた

若い頃の私は、

「もっと上手にならなければ。」

そんな気持ちばかりでした。

でも今は違います。

良い麹ができた日は、

「ありがとう。」

という気持ちが先に浮かびます。

自然に。

菌に。

仲間に。

家族に。

お客様に。

年齢を重ねるほど、

感謝することが増えてきました。


麹が教えてくれたこと

私は麹を育てているつもりでした。

でも、

本当は麹が私を育ててくれていたのかもしれません。

焦らないこと。

毎日続けること。

自然を受け入れること。

人に感謝すること。

35年間、

麹菌は言葉ではなく、

その姿で教えてくれました。


まとめ

今日も、麹室の扉を開けます

完璧な麹はありません。

だからこそ、私は100点の麹を作るのではなく、100点を目指し続けたいと思っています。

気温も、湿度も、お米も、毎日違います。

麹菌も、その日その日で違う表情を見せてくれます。

だから私は、昨日より少しでも良い麹を育てられるように、今日も麹菌と向き合います。

そして、良い麹づくりは決して一人ではできません。

支えてくださる種麹屋さん、お米を育てる農家さん、家族、そして多くの皆さんへの感謝を胸に、一粒一粒を大切に育てていきたいと思います。

だから私は、今日も麹室の扉を開けます。


🌾 米の花ちゃんのひとこと

「100点って、ゴールじゃないんだね。

毎日少しずつ頑張って、もっと良くなろうとすることが大切なんだ。

麹づくりも、人の成長も、きっと同じなんだね!」

次回予告

麹の世界 第16話

**「一粒の麹の向こうに

~たくさんの人が支えてくれる麹づくり~」**

一粒の麹ができるまでには、多くの人の力があります。

お米を育てる農家さん。

種麹を守る種麹屋さん。

大豆や塩を届けてくれる生産者さん。

資材屋さん、機械屋さん、運送会社さん…。

麹づくりは決して一人ではできません。

次回は、鈴木こうじ店を支えてくださる多くの方々への感謝をお話しします。

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