麹菌さんにも仲間がいる!
麹の世界 第12話
麹菌さんにも仲間がいる!
~自然界では、みんなで発酵を支えている~

「発酵は、一人ではできません。」
ここまでの「麹の世界」では、
麹菌さんのお仕事や、
酵母さん、
乳酸菌さん、
そして納豆菌さんをご紹介してきました。
それぞれ得意なことも、働く場所も違います。
でも、どの微生物も日本の発酵文化には欠かせない存在です。
私は35年間、麹づくりを続けてきて思います。
発酵とは、誰か一人が頑張る世界ではありません。
それぞれの微生物が、自分の得意な仕事をしながら、お互いを支え合っている世界なのです。
自然界には、たくさんの微生物が暮らしています

私たちの目には見えませんが、
空気の中にも、
土の中にも、
山の中にも、
川の中にも、
たくさんの微生物が暮らしています。
もちろん、
お米にも、
大豆にも、
野菜にも、
数えきれないほどの菌たちがいます。
その中で、
私たち人間は昔から、
役に立つ微生物の力を上手に借りながら暮らしてきました。
発酵は「チームプレー」
例えば味噌。
最初は麹菌が酵素を作ります。
次に酵母が香りを育てます。
乳酸菌が味を整えます。
それぞれがバトンをつなぎながら、
一年近い時間をかけて味噌が育っていきます。
誰か一人が欠けても、
おいしい味噌にはなりません。
納豆菌も、大切な仲間

前回ご紹介した納豆菌。
その強さには驚かされました。
でも、その力があるからこそ、
納豆という日本を代表する発酵食品が生まれます。
麹菌は味噌や甘酒、日本酒を育て、
納豆菌は納豆を育てる。
役割は違っても、
どちらも私たちの食卓を豊かにしてくれる仲間なのです。
人も微生物も同じ
私は、麹づくりを通して思うことがあります。
人間も微生物も、
それぞれ得意なことが違います。
種麹屋さんは菌を守る。
農家さんはお米を育てる。
麹屋は麹を育てる。
味噌屋さんは味噌を熟成させる。
料理をする人が、おいしい一皿に仕上げる。
そして食べる人が笑顔になる。
どこか一つ欠けても、この発酵の物語は完成しません。
発酵は「共生」の文化
私は「発酵」という言葉を聞くたびに、
「共生」という言葉が浮かびます。
競争ではなく、
共生。
奪い合うのではなく、
助け合う。
微生物たちは、自分の得意なことを精一杯やるだけです。
その姿は、私たち人間にも大切なことを教えてくれているように思います。
35年間、麹菌から教わったこと
私は麹菌を育てているつもりでした。
でも、本当は逆だったのかもしれません。
麹菌は、
毎日コツコツ働くこと。
仲間を信じること。
自然を相手に、あせらず向き合うこと。
そんな大切なことを、35年間ずっと教えてくれました。
だから私は、麹づくりが好きなのだと思います。
まとめ
発酵の世界には、
麹菌。
酵母。
乳酸菌。
納豆菌。
そのほかにも、たくさんの微生物たちが暮らしています。
それぞれが違う個性を持ち、
違う役割を果たしながら、
私たちの暮らしを支えてくれています。
発酵とは、
小さな命が力を合わせてつくる、大きな奇跡なのです。
🌾 米の花ちゃんのひとこと
「麹菌さんも、酵母さんも、乳酸菌さんも、納豆菌さんも、みんな違って、みんな大切なんだね!
発酵って、誰かが一番えらいんじゃなくて、みんなで力を合わせる”チーム”なんだ!
私も、そんな発酵の世界がますます大好きになったよ!」
次回予告
麹の世界 第13話
「父が教えてくれた麹 ~総ハゼと突きハゼ、二つの美しさ~」
麹屋だった父が目指したのは、ふんわりと白く、お米全体を包み込む「総ハゼ」の麹。
一方、日本酒づくりでは、お米の中心まで菌糸が食い込む「突きハゼ」の麹が理想とされています。
同じ黄麹でも、目指す姿はまったく違う──。
次回は、鈴木さんがお父様から受け継いだ麹づくりへの思いと、「総ハゼ」「突きハゼ」の違いを、米の花ちゃんと一緒に分かりやすくご紹介します。

