同じ黄麹でも性格が違う!
麹の世界 第9話
同じ黄麹でも性格が違う!
~長白菌と雪こまち、鈴木こうじ店だけの麹づくり~

「黄麹なら、みんな同じ?」
前回のお話では、
黄麹。
白麹。
黒麹。
それぞれ違う個性を持つ兄弟をご紹介しました。
すると味噌教室で、
こんな質問をいただくことがあります。
「黄麹なら、どれを使っても同じ麹ができますか?」
実は、その答えは
「いいえ。」
なのです。
黄麹の中にも、
人間と同じように、
さまざまな個性を持った仲間がいます。
今日は、そのお話です。
麹菌にも「性格」があります
私たちは同じ人間でも、
背の高い人。
料理が得意な人。
スポーツが得意な人。
いろいろな個性があります。
黄麹も同じです。
ある菌は、
白く美しい麹を育てるのが得意。
またある菌は、
お米の中まで力強く菌糸を伸ばすのが得意。
香りを引き出す菌。
甘みを育てる菌。
発熱がおだやかな菌。
それぞれ得意な仕事が違います。
だから種麹屋さんでは、たくさんの菌株を大切に守り続けているのです。
鈴木こうじ店が選んだ二人の名コンビ
私たち鈴木こうじ店では、
長年にわたり、
長白菌(ちょうはくきん)
と
雪こまち
という二つの菌株を組み合わせて麹を育てています。
この二つは、
まるで息の合った職人コンビのような存在です。
長白菌は「美しい麹」を育てる名人
長白菌は、
真っ白で美しい麹を育てることが得意です。
完成した麹を見ると、
ふんわりと白い毛がそろい、
まるで雪が降り積もったよう。
昔から麹屋では、
「見た目の美しさ」も品質の一つとして大切にされてきました。
長白菌は、
そんな美しい麹づくりを支えてくれる菌株です。
雪こまちは「力持ち」
一方、
雪こまちは少し性格が違います。
派手さはありませんが、
お米の中までしっかり菌糸を伸ばし、
たくさんの酵素を作る力があります。
見た目だけでは分かりませんが、
味噌や甘酒を仕込むと、
その力強さを実感します。
私は雪こまちを、
「縁の下の力持ち」
だと思っています。
父の麹と、私の麹
父が作る麹は、
まるで毛皮をまとったような、
ふわふわの総ハゼ麹でした。
私も何度も挑戦しました。
しかし、
父と同じ麹はなかなかできません。
その時、種麹屋さんから言われた言葉があります。
「鈴木さん。
見た目を追いかける前に、
まずは、お米の中までしっかり菌を食い込ませることを考えましょう。」
その一言で、
私の麹づくりは大きく変わりました。
見た目だけではなく、
酵素の力を大切にする麹づくり。
そこから少しずつ、
鈴木こうじ店らしい麹が育っていったのです。
「一種類」ではなく「組み合わせ」
料理にも、
出汁があります。
昆布だけ。
かつお節だけ。
ではなく、
合わせ出汁があるように、
麹づくりにも、
菌株の組み合わせがあります。
長白菌の美しさ。
雪こまちの力強さ。
それぞれの長所を生かしながら、
毎日麹を育てています。
これは、
長年種麹屋さんと相談を重ねながら築いてきた、
鈴木こうじ店だけの麹づくりです。
良い麹は、良い仲間から生まれる
私は35年間、
麹を育ててきました。
その中で一番感じることは、
良い麹は、
良い菌株と、
良いお米と、
良い水と、
そして、
良い人との出会いから生まれるということです。
種麹屋さんとの信頼。
農家さんとの信頼。
家族との信頼。
すべてが重なって、
一つの麹が完成します。
まとめ
同じ黄麹でも、
菌株によって個性があります。
鈴木こうじ店では、
長白菌の美しさと、
雪こまちの力強さ、
その二つを生かした麹づくりを続けています。
それは、35年間の経験と、種麹屋さんとの信頼関係の中で育まれてきた、鈴木こうじ店だけの味なのです。
🌾 米の花ちゃんのひとこと
「黄麹さんにも、こんなに個性があるなんてびっくり!
長白菌さんは”美しい麹づくりの名人”。
雪こまちさんは”力持ちの職人”。
二人が力を合わせるから、鈴木こうじ店だけのおいしい麹が生まれるんだね!」
次回予告
麹の世界 第10話
「麹菌さん、大ピンチ! ~納豆菌との知られざる攻防~」
ある年の春。
気温の変化で、麦麹が思うように育たず、すべて廃棄しなければならない出来事がありました。
原因は、麹菌ではなく、思いもよらない”別の菌”でした。
種麹屋さんから教わった温度管理の知恵、そして失敗から学んだこととは――。
次回は、鈴木さんご自身が経験した実話をもとに、「麹づくりの危機と学び」をお届けします。


