麹菌さん、相棒ができた~酵母と乳酸菌との発酵リレー~
麹の世界 第7話
麹菌さん、相棒ができた!
~酵母と乳酸菌との発酵リレー~
「一人ではゴールできません。」

約3日間。
麹菌は、お米の中で一生懸命働きました。
真っ白な麹を育て、
たくさんの酵素を作り、
味噌や醤油、日本酒になる準備を整えました。
でも実は、
麹菌だけでは発酵食品は完成しません。
味噌も。
醤油も。
日本酒も。
ここから先には、頼もしい仲間たちが待っています。
今日は、その「発酵チーム」をご紹介しましょう。
第一走者は麹菌さん
もし発酵を駅伝にたとえるなら、
最初にスタートするのは麹菌です。
麹菌は、
お米や大豆、小麦のでんぷんやたんぱく質を分解できるよう、
たくさんの酵素を作ります。
この酵素のおかげで、
次の走者が活躍できる舞台が整うのです。
つまり、
麹菌は「道を切り開くランナー」。
発酵のスタートを任される、とても大切な役目です。
第二走者は酵母さん
麹菌がでんぷんをブドウ糖へ変えると、
そこへ現れるのが酵母です。
酵母は、その糖を食べながら、
アルコールと香りを生み出します。
日本酒はもちろん、
味噌や醤油にも酵母は活躍しています。
あの豊かな香りは、
酵母からの贈り物なのです。
第三走者は乳酸菌さん
さらに発酵が進むと、
乳酸菌も仲間に加わります。
乳酸菌は乳酸を作り、
発酵食品を雑菌から守る働きをしています。
それだけではありません。
やさしい酸味を加え、
味に深みや丸みを与えてくれます。
味噌や醤油、日本酒が長い時間をかけて熟成できるのも、
乳酸菌が支えているからです。
バトンをつなぐ発酵リレー
麹菌。
酵母。
乳酸菌。
誰か一人だけでは、
おいしい発酵食品は完成しません。
麹菌が酵素を作る。
酵母が香りを育てる。
乳酸菌が味を整える。
それぞれが自分の役割を果たしながら、
次の仲間へバトンを渡していきます。
まるで駅伝のようですね。
だから私は、
発酵とは、
「微生物たちのチームワーク」
だと思っています。
人も微生物も同じ
35年間、麹屋を続けてきて思うことがあります。
良い麹は、一人では作れません。
種麹屋さんがいて、
米農家さんがいて、
麹屋がいて、
味噌屋さんがいて、
酒蔵さんがいて、
料理をする人がいて、
食べる人がいる。
そして、その間をつないでいるのが、
麹菌、酵母、乳酸菌という小さな仲間たちです。
人も微生物も、
一人ではなく、
仲間と力を合わせることで、大きな仕事ができるのです。
微生物たちはケンカをしない
私は発酵を見ていて、
いつも感心することがあります。
麹菌は、
「全部自分でやる。」
とは言いません。
酵母も、
乳酸菌も、
それぞれ自分の得意な仕事だけをします。
そして役目が終われば、
静かに次の仲間へ任せます。
その姿は、
私たち人間も見習いたいくらいです。
食卓に届くまで
こうして完成した味噌や醤油、日本酒は、
全国の食卓へ届けられます。
毎日の味噌汁。
お刺身につける醤油。
祝いの席の日本酒。
その一つひとつに、
目には見えない小さな微生物たちのリレーがあるのです。
まとめ
発酵食品は、麹菌だけでは完成しません。
麹菌が道を切り開き、
酵母が香りを育て、
乳酸菌が味を整える。
この見事なチームワークが、日本の発酵文化を何百年も支えてきました。
小さな微生物たちが、お互いを信頼しながらバトンをつないでいく姿は、私たちの暮らしにも大切なことを教えてくれているようです。
🌾 米の花ちゃんのひとこと
「発酵って、麹菌さん一人のお仕事じゃなかったんだね!
酵母さん、乳酸菌さん、みんなで力を合わせて、おいしい味噌やお醤油、日本酒を作っているなんて、とってもすてき!
発酵って、本当に『チームワークの力』なんだね。」

