種麹屋さんの仕事

~麹菌はどこから来るの?~

味噌、醤油、日本酒、甘酒。

日本の発酵文化を支えているこれらの食品には、欠かせない存在があります。

それが「麹(こうじ)」です。

では、その麹はどこから生まれるのでしょうか。

実は麹は自然に勝手にできるものではありません。

その始まりには「種麹(たねこうじ)」という存在があります。

そして、その種麹を作り続けているのが「種麹屋さん」です。

今回は、普段あまり表に出ることのない、発酵文化の縁の下の力持ち「種麹屋さん」のお仕事をご紹介します。


種麹とは何だろう?

種麹とは簡単に言えば、

「麹菌の種」

です。

農家さんがお米を育てるために種もみを使うように、麹屋や酒蔵は種麹を使って麹を育てます。

蒸した米や麦に種麹を振りかけることで、麹菌が繁殖し、味噌や醤油、日本酒づくりに欠かせない麹が出来上がります。

現在の発酵食品づくりは、この種麹なしでは成り立ちません。


日本の発酵文化を支える種麹屋さん

現在、日本で本格的に種麹を製造している会社はごくわずかです。

その中でも当店が取引している種麹屋さんが、

・京都の菱六(ひしろく)

・秋田の今野商店

です。

どちらも100年以上の歴史を持ち、日本全国の麹屋、酒蔵、味噌蔵、醤油蔵へ種麹を供給しています。

私たち鈴木こうじ店でも長年にわたりお世話になっています。

種麹屋さんが存在しなければ、日本酒も味噌も醤油も安定して作ることはできません。

まさに日本の発酵文化を支える「守り人」といえる存在です。


種麹屋さんは発酵業界の情報屋さんでもある

種麹屋さんのお仕事は、種麹を作って販売するだけではありません。

実は年に数回、日本全国の麹屋、酒蔵、味噌蔵、醤油蔵を訪問しています。

鈴木こうじ店にも年に2回ほど営業に来てくださいます。

その際には、

「今年の酒蔵はこんな麹を求めています」

「味噌業界ではこんな動きがあります」

「新しい菌株の試験が進んでいます」

など、全国の発酵業界の最新情報を教えていただきます。

私たちは毎日麹づくりをしていますが、種麹屋さんは全国の現場を見て回っています。

そのため、日本中の発酵文化の変化や流れを知ることができるのです。

種麹屋さんは、

「発酵文化をつなぐ伝令役」

とも言える存在かもしれません。


鈴木こうじ店の麹づくりは種麹屋さんとの共同作業

私たち鈴木こうじ店では、代々受け継がれてきた独自の種麹を使用しています。

基本となるのは、菱六の「長白菌」。

長白菌は名前の通り、白く美しい麹になりやすく、菌糸が長く伸びるのが特徴です。

ふんわりとした見た目の美しい麹に仕上がります。

しかし、私たちが目指している麹はそれだけではありません。

そこで組み合わせているのが、今野商店の「白麹雪こまち」です。

こちらは麹菌が米の内部まで食い込みやすく、力強い麹を作ることができます。

外側に美しく菌糸を伸ばす長白菌。

米の内部までしっかり働く白麹雪こまち。

鈴木こうじ店では、この二つの特徴を生かしながら独自にブレンドしたオリジナルの種麹を使用しています。


理想の麹を目指して

種麹屋さんとのお付き合いは何十年にもなります。

その中で、

「もっと白く美しい麹にしたい」

「酵素力を高めたい」

「味噌づくりに適した麹にしたい」

そんな相談を重ねてきました。

種麹屋さんは菌を知り尽くした専門家。

私たちは実際に麹を作る現場の職人。

お互いの経験や知識を持ち寄りながら、理想の麹づくりを追求してきました。

ですから、鈴木こうじ店の麹は私たちだけで作っているものではありません。

代々受け継がれてきた製麹技術と、種麹屋さんの技術。

その両方が合わさって生まれているのです。


美しく、そして力強い麹

麹屋にとって、麹の見た目はとても大切です。

真っ白に菌糸が伸び、ふんわりと花が咲いたような麹。

それは職人にとって誇りでもあります。

しかし見た目だけでは良い麹とは言えません。

米の内部まで菌糸が入り込み、しっかり酵素を作り出してこそ、本当に力のある麹になります。

鈴木こうじ店が目指しているのは、

「美しく、そして力強い麹」

です。

その理想を追い続けた結果が、現在のオリジナル種麹につながっています。


まとめ

味噌や甘酒、日本酒の美味しさの原点には麹があります。

そして、その麹の原点には種麹があります。

普段はあまり表に出ることのない種麹屋さんですが、日本の発酵文化を支える大切な存在です。

そして鈴木こうじ店の麹もまた、長年にわたる種麹屋さんとの信頼関係の中から生まれています。

次に味噌や甘酒を口にするときは、

「この麹菌はどこから来たのだろう?」

そんなことを少し思い出していただけたら嬉しいです。

小さな菌たちの世界の中には、長い歴史と多くの職人たちの想いが詰まっているのです。


次回予告

発酵のある暮らし【第8回】

「麹屋の麹と酒蔵の麹は何が違うの?」

同じ麹菌を使っていても、麹屋と酒蔵では目指す麹が違います。

見た目を重視する麹屋の麹。

米の内部への食い込みを重視する酒蔵の麹。

その違いを現場目線でご紹介します。

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