醤とは何か
醤とは何か
~味噌・醤油・ひしおは兄弟だった~
私たちは普段、当たり前のように味噌や醤油を使っています。
朝の味噌汁。
お刺身につける醤油。
煮物や照り焼きの味付け。
どれも日本の食卓には欠かせない存在です。
しかし、その味噌や醤油に「共通の祖先」があることをご存じでしょうか。
その名は
「醤(ひしお)」
です。
今回は、発酵文化の原点ともいえる「醤」のお話です。
醤は日本最古の発酵調味料
醤の歴史はとても古く、中国大陸から伝わった発酵食品が起源といわれています。
奈良時代の文献にも「醤」の記録が残されており、日本人は千年以上も前から醤を食べていました。
当時は冷蔵庫もありません。
食べ物を長く保存するためには発酵の力が必要でした。
穀物や豆に塩を加え、微生物の働きを利用して保存性を高める。
さらに発酵によって旨味が増す。
醤はまさに先人たちの知恵が生み出した食品だったのです。
醤にはいろいろな種類があった
現代の私たちは「醤」というと聞き慣れませんが、昔はさまざまな醤が存在しました。
魚を発酵させた魚醤。
肉を発酵させた肉醤。
穀物や豆を発酵させた穀醤。
東南アジアのナンプラーやニョクマムも魚醤の仲間です。
日本でも地域ごとにさまざまな醤が作られていました。
その中から発展していったのが、私たちが今食べている味噌や醤油です。
味噌は「食べる醤」
昔の醤は今の味噌のように、どろっとした状態のものが多かったと考えられています。
発酵した豆や穀物そのものを食べていたのです。
つまり、
味噌は「食べる醤」
ともいえます。
平安時代には貴族たちが味噌をおかず代わりに食べていたという記録もあります。
現代でも金山寺味噌やなめ味噌などは、その名残を感じさせる発酵食品です。
醤油は「液体になった醤」
一方で、醤を熟成させる過程で自然にしみ出してくる液体に注目した人たちがいました。
その液体には驚くほどの旨味がありました。
これが後に発展していく醤油の始まりです。
鎌倉時代、紀州の寺院で金山寺味噌を作っていた際にたまった液体が美味しかったことから、醤油の原型が生まれたともいわれています。
つまり、
醤油は「液体になった醤」
なのです。
味噌・醤油・ひしおは兄弟
こうして考えると、
ひしお
↓
味噌
↓
醤油
という流れが見えてきます。
発酵の原点が醤。
そこから味噌が生まれ、
さらに醤油が生まれました。
だから、
味噌・醤油・ひしおは兄弟のような存在。
どれも麹と微生物の力によって育まれた発酵食品です。
麹が日本の発酵文化を変えた
ここで忘れてはいけないのが麹の存在です。
日本の発酵文化は麹なしでは語れません。
蒸した穀物に麹菌を育てる。
すると麹菌は酵素を作り出します。
その酵素が、
でんぷんを糖に変え、
たんぱく質をアミノ酸に変えます。
この働きによって、
甘味や旨味が生まれます。
味噌も醤油もひしおも、すべて麹の力が支えているのです。
発酵の原点を味わう
現代では味噌や醤油は身近ですが、ひしおを食べる機会はそれほど多くありません。
だからこそ、ひしおには特別な魅力があります。
それは、
「発酵文化の原点を味わうことができる」
ということです。
一口食べると、
味噌とも違う。
醤油とも違う。
けれど、どこか懐かしい。
そんな深い旨味を感じることができます。
未来へつなぐ発酵文化
鈴木こうじ店では味噌づくりや麹づくりを通して、日本の発酵文化をお伝えしています。
ひしおはその出発点ともいえる存在です。
昔の人たちが受け継いできた知恵。
微生物とともに暮らしてきた歴史。
発酵が生み出す豊かな味わい。
今回のひしお作りワークショップが、そんな発酵の世界への入り口になれば嬉しく思います。
味噌や醤油のルーツを知る旅へ。
ぜひ一緒に発酵の原点を体験してみませんか。


